くでん学童Tシャツものがたり

くでん学童では、入所した子たち全員に学童Tシャツ(通称「学T」)を配布しています。進級時にも配布をし、1・2年生は赤、3・4年生は黄、5・6年生はターコイズの学Tがトレードマークです。毎月数回「学Tの日」があり、その日は学Tを着て来た子はおやつがグレードアップ!また、長期休暇の外出行事にはみんなで着て行きます。

 

そんな学Tのイラストは、くでん学童のOBの円谷ともひろさんが書いたものです。

 

 

※本ページは2005年に円谷さんからお寄せいただいたメッセージを再掲・編集したものになります。


円谷智大さんプロフィール

円谷智大   

   

桂小・本中の個別支援学級~鎌倉養護学校高等部~2015年4月から平塚のスタジオクーカに就職

 

知的障害を伴う自閉症。性格は穏やかで人なつっこく、超マイペース。小さい頃から動物が大好きで、特にゾウにこだわりがある。絵を描いているときは気持が安定するようで、鼻歌まじりに描く動物の絵は毎日10枚以上。ゾウはゾウでもアフリカゾウとインドゾウを区別をして描いてみたり、動物を擬人化してさまざまな表情をつけるのも得意。最近は、コマで区切ってストーリーをもたせた、マンガのような絵を描くのもブームだったが、成長するに伴い、興味をもって描く対象も変化してきている。

 

studioCOOCA 『 止められない男

ACM Gallery 『 円谷智大プロフィール

チャリツモ『 『障害者』の価値転換が起こる時代が来るかもしれない/studio COOCA 』

 

FUTURE IS NOW『 エネルギッシュに“好き”を表現する アートの真髄「アウトサイダー・アート」のこれから 』


円谷さんのお母様からのメッセージ

母の想い

智大は2才のとき自閉症と診断されました。3才を過ぎてもコトバが出なくて、話しかけても目をそらし、つないだ手もすぐに振りほどいてどこかへ行ってしまう。わが子に対する親の愛情表現は空振り続き、一歩外へ出れば「しつけの悪い子」と非難の目にさらされ謝ってばかりの私。本当に空しい日々でした。

 

小さい頃の智大は人には関心を示さないのに、動物や動物をモチーフにしたものを見るときは、とても生き生きとした表情を見せ、とりわけゾウに執着していました。

 

病院通いが頻繁だった幼児期、超多動の息子が少しでもジッとしていられるようにと、私はよく待合室で動物の絵を描いてやっていたもので、ヘタクソなゾウが描かれている間、智大は熱心に鉛筆の先を目で追うのでした。スケッチブックと色鉛筆はお出かけの必須アイテムとなり、そのうち智大は大好きなゾウを自分で描くことにハマッていきました。新しいスケッチブックが一日で埋まってしまうほど、描くことが大好き。普段は注意散漫でも好きなことには驚くほどの集中力をみせます。

 

「話す」ことが苦手な智大は「描く」ことで自分を表現しているようです。そしてなにより、絵を描いているときの智大は、とても幸せそうです。

 

 初めのうちは動物や食べ物ばかりで、人を描くことはなかったのですが、小学生になってから少しずつ自分を描き入れるようになり、あるとき、母親の私が初めて絵の中に登場しました。ゾウに乗っている智大と、その横でカメラを構えている私。私がいつも子どもの写真を撮っているのを、ちゃんと見ていたのでしょうね。

私はその絵を見てクスッと笑いました。

 

自閉症という重い障害をかかえて将来への不安が頭から消えることはありませんが、智大は、相変わらず毎日大好きな絵を描いています。彼の絵が私の心を和ませたように、この先も、見る人を温かい気持にさせる絵をたくさん描いていってほしいと思っています。もっと腕を磨いたら将来は山下清のような芸術家にと、ひそかな野望も抱きながら・・・

 

円谷美紀(2005年夏 記)

 

指導員の思い

Tシャツ以外にパーカーなどもあります!
Tシャツ以外にパーカーなどもあります!

くでん学童保育所は、他の学童保育所と同様 個性豊かな子がいっぱいます。

その中で「つぶらやともひろくん」は、自閉症という障害がありますが、絵を描くこと、木のぼりがとっても好きです。夢中になると、「おやつだよ~」という呼びかけにも乗ってこないときがあるほどです。

 

動物の絵を描くのが得意で、動物図鑑などをじっと見つめて研究している姿もよく見られました。 彼は考えながら描くというよりは、内側から噴き出てくるものをそのままペンに乗せて表現しているという感じです。ともひろくんの絵はとてもかわいく、ほのぼのとしていて、みんなをホッとさせ、幸せな気持にさせてしまう雰囲気があります。指導員は彼の絵を何か形にして、多くの方に味わってもらいたいと言う願いを持ち続けてきました。 

 

美術関係の仕事をしていらっしゃるAさんの助けを得て、ともひろくんの絵を入れたオリジナルTシャツを作成するところまで、漕ぎ着けることができました。Tシャツの絵はいくつかの動物のサイズや位置を換えただけで、ほとんど手直しなしで仕上がりました。

 

キャッチコピーは、地域の青年が指導員の思いを汲み取って考えてくれました。また、右下の「木のマーク」はAさんのデザインで、くでん学童の前にある大きなどんぐりの木、●はひとりひとりの子どもたちと、その輪・和をあらわしています。


夏休み!江の島水族館へも学Tを着て行きました!
夏休み!江の島水族館へも学Tを着て行きました!